中高一貫校の中学生の場合、中学1年生から数学は代数と幾何に分かれて授業が行われることが多いです。
この代数と幾何というカリキュラムは、公立の中学とカリキュラム、進み方が大きく異なるため、どのように勉強したらよいのかわからないというお悩みを生徒さんやそのご両親からよく相談されます。
そこで、今回は、代数と幾何それぞれについて、私が実際に指導して、25点⇒70点になったお子さん、5点⇒50点になったお子さんというように定期テストで結果が出た中高一貫校の中学1・2年生の数学の勉強法についておすすめ問題集とともに紹介します。ちなみにこのお子さんはどちらもその後、成績も安定し志望の大学に進学しました。
なお、中高一貫校の中学3年生で、学校が高校の範囲である数学ⅠAに入っているという方は、以下の記事も参考にしてみてください。
中高一貫校中学1・2年生のテスト対策
数学代数のテスト対策と勉強法
代数では、数と式、文字式、方程式などを扱います。
中学受験を突破したとはいえ、代数が苦手なお子さんは、小学校からの計算練習が足りていません。
学校のプリントや教科書の問題を中心に同じ問題を最低2回+可能であればさらにもう1回(間違えた問題のみでもよい)解かせるとよいでしょう。
教科書は中高一貫校の場合、数研出版のものを使っていることがほとんどです。
中高一貫校用の教科書そのものは市販されていませんが、「中高一貫校をサポートする体系数学1~代数編(中2の途中からは体系数学2)」というタイトルのものが教科書と同じものです。
そちらを自宅学習用に購入するとよいでしょう。
まずはこの教科書にある例題と練習問題を確実にできるようになるまでやらせることが重要です。
問題を解かせる際には、字を小さく書いて計算ミスをしていないか、字を汚く書いて数字を読み間違えていないかについてもチェックしてあげるとよいでしょう。
計算ミスが多い生徒さんは、字が小さすぎたり薄く書いたり、汚く書いて、自分で読めなくて間違えてしまっていることが多いです。
間違えた問題について、字を大きく丁寧に書く用に伝えてもう一度解かせるとたいてい正解できます。試してみてください。
お子さんが体系数学の教科書の問題を1人で解くのが難しいようであれば、パーフェクトガイドを使ってください。
最初はパーフェクトガイドのやり方をまねしながらでもよいので、「できる体験」をしてもらうことが重要です。
代数は計算練習をすることで、「できるようになる問題が増える⇒自信がつく⇒テストの点数が少し良くなる⇒やる気がでる」というようにいい方向に流れていきます。
代数の点数が伸びないお子さんについては、まずは計算練習をしっかりやらせるようにしましょう。
最初にも記載しましたが、実際に、私が面倒を見ている生徒さんでも、文章題はあと回しにして計算練習を最初にさせたことで、25点⇒70点になったお子さん、5点⇒50点になったお子さんというように結果が出ています。
さらに余裕があれば、体系問題集でより多くの問題を解かせるとよいです。
なお、テスト直前期には学校指定の問題集の提出を求められることが多いです。
平常点に影響しますので、提出日までに必ずやらせて提出させるようにしてください。
ここまでの学習をしっかりやれば、たいてい平均点以上はいきます。
ただ、数学は以下のような特色があるので、普段から体系数学の例題と練習問題だけでも毎日やらせるようにしてください。
・普段からの勉強が大切。
・テスト前だけ勉強してもダメ。
数学代数まとめ
以上をまとめると、次のようになります。
中高一貫校では、まずは平均点以上をとることを目標にしましょう!
2 学校から指定された課題は締切までに提出。
3 終わったら体系問題集をやる。
実際には学校のレベルにもよりますが、2までをしっかりやれば平均点以上、3までやれば80点くらいは普通の学校なら取れると思います。
中学1年生の途中か、中学2年生からになると思いますが、学校の進度にあわせて、体系数学2についても同じように進めるとよいでしょう。
数学幾何の勉強法
幾何では平面図形や立体図形、証明などを扱います。
幾何については、考え方や問題の解き方がわからず苦手意識を持つお子さんが多いです。
そのため、教科書レベルの例題と練習問題をしっかりと解けるようになるまで繰り返し、考え方や問題の解き方を身につけることが重要です。
「中高一貫校をサポートする体系数学1~幾何編」を自宅学習用に購入して、学校でやった問題を中心にもう一度解かせるようにしましょう。
また、幾何について問題を解く際には、頭の中だけで問題を解かせるのではなく、必ず図を描かせる(問題文に図がある場合は図に問題文の条件を書き込む)ことが重要です。
実際のところ、幾何が苦手な子はほぼ例外なく図を描かずに頭の中だけで問題文の情報を処理しようとしてさっぱりわからないという状態になっています。
問題文に図を描くことで右脳と左脳を同時に使って問題文を読むことができます。図は必ず描きましょう。
なお、幾何についても、代数と同じく1人でやることが難しいお子さんは、パーフェクトガイドを見て解き方をまねしながらやってみることをおすすめします。
教科書の例題と練習問題ができるようになったら体系問題集を使って、自力で問題が解けるかチェックしましょう。
問題演習の必要性、課題が出たら締切までに提出することは代数と同じです。
数学幾何まとめ
以上をまとめると、次のようになります。
幾何の問題は必ず図を描く(問題文に図が書いてある場合は問題文の条件を図に書き込む)ようにしましょう。
2 課題は締切までに提出する。
3 終わったら体系問題集をやる。
定期テスト対策おすすめ参考書と問題集
定期テスト対策としては、代数も幾何も学校の教科書や問題集の問題をしっかりとできるようになるまで何度も繰り返すことが大切です。
①解説を読んで理解しただけで終わってしまい、②自力で解くことをやらないとできるようにならず、成績は上がらないので注意してください。
勉強時間は長いけど点数が上がらない理由の大半は復習の際に解説読んで終わりでその後自分で問題を解かないということにあります。
おすすめ参考書と問題集
学校の授業の直後に復習をするのが理想ですが、そんなにうまくいくなら苦労しません。
実際には、ノートをみても解き方が思い出せなかったり、教科書や問題集だと解説があまり詳しくないので、テスト前にそれだけやってもよくわからないという場合もあるでしょう。
その場合には、復習用の参考書として「やさしい中学数学」がおすすめです。
この本は、2人の生徒が先生に質問する形の対話形式で書かれており、また片方の生徒が問題を解く過程でよくやりがちなお約束(笑)の間違いをしてくれるので、復習や解き方を確認するには非常に良い本かと思います。
この「やさしい中学数学」を読めば、たいていの生徒さんなら問題を自力で解けるようになるかと思います。
それでも点数が取れない場合には2つの場合が考えられます。
1つ目はお子さんの問題で、実は小学校で学習した分野の知識があいまいで、授業が全く分からない場合(特に幼稚園や小学校から入学している場合)です。
小学校の学習した分野の知識があいまいな場合には、小学校の復習をやらないといつまでたってもできるようにならないので、春休みや夏休みなどで小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本と問題集などを使って、小学校の復習をさせてください。
2つ目は学校の問題でその学校が進学校で普段配られる学校のプリントが難しい(難関の高校で出題された入試問題をベースに作られている)場合です。
学校が進学校で普段配られる学校のプリントが難しい(高校で出題された入試問題をベースに作られている)場合には、「改訂版高校入試中学数学が面白いほどわかる本」を使うとよいでしょう。
この本は、高校入試レベルの問題をビジュアル的にわかりやすく解説しているので、学校のプリントなどで説明が足りないところを補ってくれます。
テスト範囲が明確なときはそれほど点数が悪くなかったが、学年が上がりこれまでのまとめ問題や初見の問題が出題されると点数が取れなくなったという生徒さんにはおすすめの本です。
数学は苦手意識をもつと思考停止になってしまい、テストの点数が伸びなくなる傾向にある科目ですが、単にまとめ問題や初見の問題の解き方を知らないだけということもあるので、「改訂版高校入試中学数学が面白いほどわかる本」を一読しておくとよいでしょう。
ただ、これらの本はわかりやすいとはいえ、数学が苦手なお子さんにとっては、これらの本を開くだけでも嫌になってしまう可能性があります。そのような場合は、個別指導の塾などに頼るのも1つの手でしょう。
数学専門のオンライン塾もあるので、そちらも検討してみてはいかがでしょうか。
なお、言うまでもありませんが、学校指定の問題集やテスト対策プリントがある場合には、そちらを優先してやりましょう!
いろいろ手を広げるのではく、基本レベルの問題をくり返し自力でできるようになるまでやることが大切です。
まとめ
・体系問題集までできるとベター
・やさしい中学数学でわからないところを確認
・中学数学が面白いほどわかる本で解き方を確認
・学校のテスト対策プリントなどは必須